ン十年の人生、私はこれでも平和に生きてました。 そりゃ人並みに喧嘩もしたりしてましたが、基本的な性格はのんびりっす。 そんな私が、恐らく一生忘れられない事件。 この日の路上教習は、私が苦手としていた激難コース。 片や中学校の裏手で道は細くクランクが沢山あるし中学生が歩いてるし、片や田んぼが控えており、寄りすぎて転落した日にゃ教習車でJAFのお世話になりかねない。 そんなこんなで、いつも以上に神経を張りつめらせながら、しずじずと車を進めておりました。 そこで、事件は起こった。 部活帰りとおぼしき、セーラー服+スカートの下にジャージ着用の女子中学生二人組が歩道を歩いていたので、その脇をスピードを落としつつそぅっと通り過ぎようとして…… 一人の女子が 「わっ♪」とふざけた嬌声を上げながら、 教習車の前に飛び出しやがった。 「いっ?!」 その時は何が起こったか分からず、スピードも落としてたこともあって咄嗟にブレーキを踏んだお陰で急停止できました。 呆然とする私と教官の前で、笑いながら今の行為をしゃべくっているガキ。 ようやく事態を飲み込めたのは、こちらに背を向けてのたのたと去っていこうとしている二人を認識してから。 今までの人生、見知らぬ他人にそんなに強い負の感情を持つことは無かったのですが、 ドクンっと心臓が脈打ったその瞬間は今でも忘れません。 教官が声かけなければ、アクセル踏んでる。 生まれて初めて、本気で 殺してやろうと思いました。 キレやすい若者が多い昨今、些細なことで殺人に手を染めたりしてしまう事件が相次ぎますが、この日以来、あんまり無関心には思えなくなりました。 ドクンドクンと心臓は強く飛び跳ねているのに、血はすーっと頭から指先まで冷たくなっていくのが分かります。 そんで、頭の中は真っ白。 あれがきっと、「キレる」事であり、「殺意」だったんだなと、今なら冷静に分析できますが。 こうして事件だけを見ると、「こーんな笑い話みたいな事で何アツくなってんの。イタタ。ばっかみたーい」と思われそうな場面ですが、実際に極度の緊張の中でこんなおふざけやられてみなされ。 しかも見知らぬ他人に。 親の顔マジ見せろ。 あれがもし自分の子だったら、暴力ダメなんて言う余地無しにはったおします。 教習車をからかうのは止めましょう。いや本気で。 |